鮮やかな花のような





エイグスを大破させたあげく一時通信が途切れたのにもかかわらず、たいした怪我もなく戻ってきてみせた。
顔を見て安心したのは内緒だ。
「さっさと始末書仕上げて頂戴」
「ペレグリー」
「エイグスは消耗品じゃないのよ。何のために専用機のカスタマイズしてると思ってるの。あれ一ついくらなのか知ってるでしょう」
「大破したのは私だけではありませんよ」
「大佐は言うだけ無駄だから。あなたは無事に戻ってこようとすれば出来るでしょう」
「はあ…」
「全然進んでないじゃない」
「生憎右手が不自由でして」
「刀一本でエイグスを真っ二つにしてれば手首の一つや二つ痛めるのは当たり前よ」
混戦の中でその程度の怪我で戻ってこれる方がおかしい。
この男、殺しても死なないんじゃないかと時々思う。
名前も知らず花屋で目に付いて買ってしまった沈丁花の花。
花言葉も含めてこの男みたいだ。
「早く終わらせてよ。あなたがそれ仕上げてくれないとデートの一つも出来ないんだから」


『沈丁花』
花言葉は
「栄光」「不死」「不滅」





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