終わらない水曜日




 ある日ふと、特に理由も無くただ漠然と、あの子も去るのだと思った。
 傍から見れば違うのだろうが、私はそう思った。あの人も彼女も去っていった。きっと、あの子も去るのだろう。
 私達は、他人となるには近すぎて、家族になるには遠すぎた。
 多分そう云う事なのだろうと、ある日思った。

 一度そう思えば止められない。いつかあの子はそれに気付く。
 あの子が去っていくのではない、私が去らせるのだろう。
 気付きたくないだけなのだと、そう叫んだ時点で気付いている。
 目を逸らし耳を塞ぎ、私は私自身に背を向ける。
「兄さん?」
 庭を見たまま呆けてしまった私に、あの子がそっと声をかけた。
「どうしたの? 何か嫌な事でもあった?」
 今にも泣きそうな顔で覗き込むものだから、どれだけ酷い顔をしているのかと彼女の瞳を覗き込んだ。確かに、これを人は泣きそうな顔だと云うのかもしれない。
「何かあったら云ってね? 私、兄さんの味方だからね?」
 幼いが故の無邪気さで、この子は力強く私に抱きつく。私は彼女をそっと抱き寄せて、何度も何度も背中を優しく撫ぜた。
「私兄さんの側にいるからね。ずっと、ずっと側にいるからね」
「ありがとう……私も、」
 そこで言葉を区切り空を見上げる。
 一月前の事を昨日の事の様に思い出した。
 一昨日の事を一年前の事の様に感じた。
 明日は何処から来るのだったか。
「私も、ずっと此処にいますよ……」
 どうでも良いように思えた。



どうしても兄さんを悲劇の主人公にしたいらしい。ね!
EDの「私はこれを求めていたのに」っていう台詞を何とか消化したいんですが難しいネ。
どう消化したいかもわかってないもの。

結局何をどうしたかったのかなぁと、今更ながらの事で迷子中。