闇の中を、歩く事は少し疲れる。
だから灯りが欲しかった。
せめて足元だけでも照らす灯りが欲しかった。
行く道を照らせなんて云わない。
来た道を照らせなんて云わない。
ただ足元を照らして欲しかった。
それが鬼火でも構いやしない。
隣に立って足元を照らす、この男が死だとわかるだけでも充分だ。
自分以外がわかるだけでも充分だ。



だから、嬉しかったんだよ。