天国へよりも近い地獄への階段





「っく、……あ。…シュラ」
侵入に、カミュが身を捩る。ほとんど慣らしていないにもかかわらず、そこはごく穏やかにシュラを受け入れ、吸い付く。
「…ふ、ぅ」
ずるずると柔らかい肉がシュラを銜えこんでいく。熱く締め上げられる感触にシュラは喉の奥をならす。快楽に目を霞ませながらも、シュラは自らの中にある黒く赤く激しい感情を、妙にはっきりと感じ取っていた。
カミュの体にはシュラがつけた物ではない無数の赤い鬱血がある。シュラはそれを忌々しそうに睨みつけると、噛みちぎる勢いでそこに吸い付いた。
「あ、っく…ッ」
苦痛に眉を寄せながらも、カミュの奥は一層熱くなる。噛み付いた所からうっすらと血が滲んだ。
「っあ、は…ッ!」
奥まで差し入れると、シュラはカミュを思いやる事なく動き始めた。拒む事なくその動きを受け入れてみせるカミュの肉に、シュラの苛立はいっそうつのる。
「…ッ!ぅ、あぁ……シュラ、シュラ…!」
しごく重要な文言を読み上げるかのような声で、カミュが名を呼ぶ。シュラの動きはそれに合わせて激しくなる。
突き上げるだけでは飽き足らず、カミュの肌に付けられた鬱血一つ一つに喰らい付き、自分の唇で覆い隠し消していく。赤の代わりに、どす黒い花が咲いていく。
「…っひ、ぅ、く……!」
手で、カミュの雄を握りしめる。燃え盛るように熱いそこを擦り上げればカミュは身を捩って喘いだ。
「ぁあっ、シュ、ラ!はっ、シュラ、シュラ…!」
何度も名前を呼びながら、カミュはシュラに手を差し伸ばす。シュラはしかしその手を振り払うと、自分の体に触れさせる事なくベッドに縫い付けた。
「っく!…っい、ぅ…ッ!」
カミュには自分を触れさせないまま、シュラは激しく腰を打ち付けた。白い肌は赤く染まり、泳ぐ目線が情欲を煽る。
こんな媚態を、自分以外の男も知っている。
そう思った瞬間、シュラの目の前が赤く染まった。
手の中のカミュの雄をきつく締め上げる。それに合わせてカミュが啼き、シュラの肉に吸い付く。
「ん、っくぅ…あ、ぁ、シュラ、っと、…も、っと…!」
長い睫毛に涙を光らせてカミュがねだる。
「っと、お、く…もっと、シュラ…!」
赤く濡れた舌が唇をなぞる。口を開け、口付けをせがむ。腰をくねらせ、シュラを誘う。
「っあ!」
シュラの肉がカミュを抉る。
「こんなふうにねだったのか?」
押し殺した声で、シュラが言う。
「こんなふうに、あいつに抱かれたのか…!」
焼け付くような目で、カミュを睨む。

カミュの口元が笑った、ような気がした。





















優しい悪魔





「お前は俺のどこがいいんだ」
「ではシュラは私のどこがいいのだ」
「その赤い髪が」
「ではその黒い髪が」
「その赤い瞳が」
「ではその黒い瞳が」
「その艶やかな唇が」
「ではその引き締められた唇が」

「お前はいつも俺を追う」
「私は貴方の影を踏む」
「俺はお前の影すら見えない」
「私はここから離れない」
「何故だ。俺を愛するというのならば何故」

「私が貴方を見失わないように。貴方がいつまでも私に悩まされるように」





















睦言





そっと、指を絡める。
「貴方の指が、好きだな」
口付ける。くすぐったい感触に、口元がほころぶ。
「貴方の頬も、好きだ」
すりよせる。まるで猫のような仕草は甘ったるく子どもじみていて、愛おしい。
「シュラ」
誰も聞いた事がないだろうこの甘えた声は、耳に優しい。
「シュラ」
すりよる体はまだ熱を帯びている。塗れた唇が、囁く。
「シュラ」
解っているよ、愛しいアクエリアス。お前の望んでいる事など、全て。
黒い山羊は赤い悪魔をそっとベッドに沈み込ませた。





















言い訳





本当は、離したくなどなかった。
本当は、無理矢理にでも繋ぎとめて側に置いて誰の目にも触れさせないで自分だけの俺だけの。

日に日に、俺の手は赤く染まっていく。
この赤がお前の赤ならば良かったのに。
そうしたらきっと俺はお前を手放さずにそのままずっと、ずっと側に。

お前の赤がこの赤に染まってしまうような、そんな気がして。だから。だから、俺は。




















花は血を吸ってますます赤く





「貴方がシュラ様をたぶらかしたのね」
吊り上がった目のいと醜きを哀れむ。
白き長き脚を上げ組み、微笑。
「残念ながら私の方から抱いてくれとシュラに言った事は、ないぞ」
赤き悪魔のいと麗しきは甘やかなる毒。
花は咲き蜜は零れ、群がる虫を踏みつけて、哄笑。





















Go Go Eden !!





「で、お前はなんでシュラという男がありながら他の男に抱かれるのだ?」
見事な金髪の勇壮な青年を見て、カミュは相変わらずの無表情のまま首を傾げた。
「何故、他の男の抱かれる事がいけないのだ?」
無邪気な声がミロの頭を悩ませる。自分自身、数度はカミュと関係を持った身。あまりにきつい批判は我が身を傷付けることにもなるため今まで口をつぐんで来たが、この言い分は余りにもシュラに申し訳がない。
「あのな、普通はこれと心に決めたものが出来たらそれ以外の人間とは性交渉は持たないものなんだぞ?」
教え諭すように語りかけるが、カミュは訳が分からないと言った風にまた首を傾げる。
赤く艶やかな髪がさらさらと肩を流れ落ちる。あぁこの髪の流れに心奪われた哀れな人間は一体何人いるのだろうか。その一人であるミロはつくづくため息をついた。
「だが、私はシュラを悦ばせるためにやってるのだぞ?」
その支離滅裂な物言いに、ミロはシュラは実はカミュが他の男とセックスしている場面を見て興奮する変態男なのではないだろうかと、一瞬本気で疑ってしまった。
「彼等のおかげで多くの性技が学べた。シュラも大層気持ちが良さそうだった」
にやり、と、酷薄な唇を歪めて笑うその様は美しくも禍々しく、まるでいつかどこかで聞いた食人花のようだとミロは思った。
つまりカミュの言い分はこうだ。自分は愛するシュラを悦ばせるために経験豊かな男に抱かれ、性技を磨くのだと。
「だって、シュラを実験台にしたら悪いではないか」
その破綻っぷりにミロは絶句した。
元々カミュにリンリだのドートクだの求めた自分が間違っているのだろう。
カミュは昔からこうだった。無邪気に罪を重ねるのだ。いつも自分が中心でなくては気が済まず、周囲の人間を従えて踏みつけて満足げに笑うのだ。そして自分の歪んだ行いを露程も疑わない。自分によって壊されていく人間の有様を愛おしい、と。狂い壊れてゆく有様を美しいと彼は微笑むのだ。
その醜い心はしかし余りにも無垢で、生まれもっての悪魔的な美貌と相まって、むしろカミュを際立たせ燦然と輝かせるのから、たちが悪い。
「だって、もしも私がシュラを不快な気分にさせようとして他の男に抱かれているのならいざ知らず、私は彼を悦ばせようとしているのだぞ?」
悪意など欠片もないのだ、ミロは誤解しているとカミュは口を尖らせた。不機嫌を著わすサインなのに何故かキスをねだるようにしか見えないのは、ミロの深読みかあるいはカミュの人柄のせいか。
「誤解しているのはそっちだ」
頭を抱えてミロがうめいた。
たとえ自分を悦ばせるためといえども他の男に抱かれて平然としていられる輩がいるわけがない。事実、カミュが他の男の抱かれただろう翌日は、シュラの空気が不穏だ。カミュとて解っているのだろう、そういう日は夜にならないとシュラに近づかないから。
「なぁ、ミロ」
甘えたような声を出しながらカミュがミロの首に手を回した。
ぺろり、と、赤い舌が唇を潤す。


「おなかがすいた」





















予感





「お前はいつか俺以外の誰かの元へと行くだろう」
「貴方がそう言う限り、私はその人の元へ行くだろう」





















空言





人々はいう。
ピスケスはまるで天使のようだと。あれほど清純な美を備えたものは地上を探しても他にはいないだろう、と。

人々はいう。
ジェミニはまるで神のようだと。あれほど高潔な人格を備えたものは死すべきもの達の中には他にいないだろう、と。

人々はいう。
アクエリアスはまるで悪魔のようだと。あの禍々しい美も人格も、弱き人の心を誑かし溺れさせ堕落させるものだ、と。

「ならばシュラよ、貴方は悪魔を従える魔の王サタンに違いない」





















誓い





「シュラ」
見ろ、と言わんばかりにカミュが掌をシュラに突き出してきた。
戦士とは思えないくらい丁寧に手入れがされた爪は、今度は黒く塗られ銀の煌めきが散りばめられていた。
「綺麗だな」
「そうではなくて」
カミュの自慢げな顔が少し歪む。
「よく見ろ」
つん、と顎を上げてカミュが命じた。シュラは整えられた爪先をまじまじとみつめた。
「あ」
「わかったか?」
カミュがにこりと笑った。
「山羊座の形に白を置いたのだ」
満足げに爪先を眺める。爪にはラメの他に小さな白い点が置かれていた。その配置は差し出された側から見てちょうど山羊座の星の配置になるようになっていた。
鼻歌でも歌い出しそうな機嫌の良さでカミュが自分の爪を覗き込んだ。
「これで、シュラとずっと一緒だ」
まるで子どものように自分の思いつきにはしゃぐ。
そんなカミュの無邪気さにシュラは赤面しながら笑った。
「しかし、一週間もすれば剥がれてしまうのだろう?」
「塗り直すさ」
得意げにカミュが答える。
「剥がれても壊れても、何度でも。塗り直すさ」
シュラを真っ直ぐに見つめて、言う。
赤い強い瞳はいつもシュラを真っ直ぐ射抜く。
力強いその言葉に、シュラは優しく微笑んだ。





















まどろみ





一緒に、夕日を見に行った事がある。
デスマスクとミロとシュラとカミュの四人で、ミロがどうしても行きたいというから。
岬の上から眺める夕焼けは青い海を赤く染め、一日の終わりを告げる。昼の強烈な日差しとは異なる穏やかな光が海に反射して、きらきらと歌でも歌うかのように輝く。鮮やかだが、暖かな赤。夜の帳を引き連れて、世界を照らす。
カミュは、シュラを見ていた。
夕日に負けない鮮やかな赤で、しかし夕日のそれよりも熱く激しく射抜くように捉えたものを離さないようにと真っ直ぐに輝く赤。赤が、シュラを見上げている。しかしシュラは傍らの赤よりも遠くに光る赤の方に夢中なのか、気づいていなかった。
カミュはシュラを、シュラは夕日を見つめていた。

一緒に、訓練をしたことがある。
カミュの面倒を見る事になっていたデスマスクが急務で聖域を出たため、シュラがアイオロスと共にミロとカミュの面倒を見る事になった。手のかかるミロをアイオロスが引き受けてくれたので、シュラはカミュを見る事になった。一対一で訓練をするのは、これが始めてだった。カミュが聖域に来て二回目の春だった。
組み手をしながら、カミュの直すべき所を指摘していく。手本を見せるシュラを、真っ直ぐな赤が射抜く。シュラのごく小さな手先指先の動きも、その赤は余す事なく映しているのだろう。やってみろと言われてカミュがシュラを真似て動けば、それは先ほどのシュラの動きを完全に再現してみせる。
その精密さからはまるで強迫観念にも似たような強い感情が読み取れた。が、シュラにはそれが何という感情なのか解らなかったし、解らなかったから何も出来なかった。そいう強い感情が、ひょっとしたらカミュを苦しめているのかもしれないと感じながら。
数週間してデスマスクが帰ってきた頃には、カミュは大きく進歩していた。

一緒に、食事をした事がある。
血なまぐさい任務が続いた後、気晴らしにでもと町へ降りたら、カミュがいた。
声をかけてきたのはカミュの方だった。ショーウィンドーに並べられたコートを眺めていたら、後ろから声をかけられた。カミュは、手に本屋の袋を提げていた。
それから二人並んで少し話し、歩いた。まだ昼を食べていないという話しになって、それでは一緒にという事になった。
歩きがけに見つけた美味しそうなグレッグサンドを二人して買った。住宅街に近い小さな公園に入り、日向のベンチに腰掛ける。
その日は秋にふさわしい穏やかな日で、日差しは暖かく風は涼しく長袖のシャツと薄手のセーターが程よかった。小鳥の鳴き声と遠くから聞こえる子ども達の笑い声に耳を傾けながら、二人は静かに昼食を食べた。カミュはパンを小さくちぎっては、飛んでくる鳥達に与えていた。カミュは、子どもと動物にはひどく優しい。
食べ終わって一息ついたとき、カミュがこちらを見ている事に気づいた。少し首を傾げて、こちらを見つめている。シュラは何故だか赤面した。同じような事が今までにあった気がした。
赤い目は真っ直ぐで、しかしこの秋の日のように穏やかだった。しばらくの逡巡の後、シュラはカミュの方を向いた。

目が、合う。
赤と黒が交差する。
カミュの目がふっと細められ、口元がほころんだ。

「ようやく、こちらを見たな、シュラ」





















甘い果実と美酒の夜





「カミュ…」
鍛えられた体を背後から抱く。繋がり合った部分が擦れ合って、カミュが甘い鼻息を漏らす。
熱く湿った背中と胸は、重ねればぴたりと吸い合う。こちらの鼓動とあちらの鼓動が混じり合い、溶け合う。
「カミュ」
前に腕を回しカミュの首筋に触れる。鎖骨のくぼみをなぞり、掌で胸を撫でる。勃ち上がった乳首に指先が当たると、カミュがまた小さな溜息を漏らした。
つまみ上げ、ねぶる。
震える息を感じる。気を良くして耳裏をねっとりと舐め上げると、ぴくんと体が跳ねた。耳と、胸元と、弄ぶ。
繋がったそこは火傷をしそうな程熱く、シュラが胸元をいじる度にきつく締め付ける。その感触をもっと楽しもうと、シュラは耳朶を食んだ。
「…っくぅ」
体を震わせてカミュが声を漏らす。
シュラの手は既に胸元を離れて更にその下へと進められていた。やがて指先に茂みを感じる。幾度かそこを引っ掻き回した後に、シュラはもっと奥へと手を進めた。
手に当たったそれは熱く固く、触れれば自然に震えた。
「カミュ…」
耳元で熱く囁けばまた吐息が漏れる。腰が揺れ、ねだる。
シュラの手がカミュのセクスをくるんだ。大きな掌で包み込んで、その温度と感触を楽しむ。数度、上下させる。カミュが声を上げて跳ねた。
「っあ…」
跳ねた拍子に繋がったそこがこすれ合う。
「っぅ」
こすれ合った感覚に反応すると、またこすれ合う。前も、後ろも。
「っは、ぁ…」
シュラが軽く手を動かしただけで、カミュは見る間に狂っていく。
少しでも動けばどこかが熱を生み、その熱がまたカミュを狂わせる。
「シュ、ラ…っ」
濡れた声でカミュが名を呼んだ。シュラは耳を食んで答えた。
「っく…!」
耳元の刺激にカミュはまた敏感に答える。また、こすれ合う。
「っは、ぁ…シュラ、シュラ…!」
濡れ零れる先端をシュラが指先で抉ると、カミュは声を上げて身を捩った。体が小刻みに震え、カミュの肉がシュラに絡み付き締める上げる。
快楽が、連鎖する。
「っあ、……ぅ、あ、ぁ……!」
シュラは空いている片手をカミュの胸元に動かし、再び乳首をいじり始めた。
「っい…ぅ…」
濡れた声でカミュが答える。自分の与える刺激の一つ一つに律儀に反応してゆくカミュに、シュラは酔った。目眩を感じる程に。
「カミュ…」
首筋に噛み付く。耳裏から肩にかけてが弱い事は、承知している。カミュは案の定体を弾ませた。
ずちゅ
カミュのアナルが鳴る。シュラの手の中のものをしごけば、こちらも濡れた音を立る。
「カミュ、カミュッ」
首筋を噛む。獣がするように。
「っひ…っく、ぁあ、あ……」
カミュがシュラを締め付ける。ねっとりとした肉の感触に、シュラの視界が霞む。
「カミュ…ッ」
堪らず声を上げると、シュラは腰をカミュに打ち付けそのまま押し倒した。
「は、あぁ…ッ」
カミュの顔がシーツに沈む。四つん這いの姿勢に鳴って、シュラに腰だけを向ける。シュラはカミュの上に多いかぶさると。体を密着させた。伝わった所から情欲が広がる。熱く、濡れて、鼓動が、溶け合う。
「カミュ、カミュ…」
名を呼びながら腰を押し付ける。シュラの先端がカミュの奥を抉り突いて押し広げる。
「っく、ぅ、うぁ、あ…」
耐えきれず漏らされるカミュの呼吸が、シュラの興奮を煽る。繋がったそこを揺すり上げて内壁を擦る。粘着質な音が耳に入る。
「はぁ、あ、シュ、ラ…っあ」
シュラが手を伸ばしてカミュのセクスを掴む。小刻みに震えるそこは解放を望んでいる事をシュラに伝える。シュラは戸惑う事なく手を上下させた。手の動きに合わせてカミュが痙攣し、カミュの動きに合わせてシュラのセクスがカミュを抉る。
「っく、ひ…っ」
シーツをかき乱しながらカミュが呻く。
「……ぁあ!っあ、あ!」
びくんびくんと震えて、カミュが精を放った。シュラの手を濁った液体が汚す。どろりとした感触のそれをシュラは自分の口元に運んだ。音を立てて、舐める。
濡れたままの手で、カミュの背中をなぞる。浮き上がった筋肉は彫刻されたかのように整っていて、筋の動き一つ一つまでも感じ取れそうだ。
「カミュ…」
射精感に体を緩めるカミュを一度抱きしめた後、シュラは腰を引いた。
「…ぁ」
引き抜かれる感覚にカミュが吐息を漏らしたが、それはすぐに嬌声に変わった。
「ひぁっ、あ……っく、ぅあ、ぁ!」
カミュを、シュラのセクスが割る。引かれ、突かれる。奥を抉り突かれ打ち付けられ、かと思うと一気に引かれて今度は先端で入り口を擦られ焦らされ、また奥を割られてねじ込まれ、深く浅く熱を煽って煽って煽って、シュラがカミュを求める。
「っく、ぅあ、あ……ッ」
「っう、カ、ミュ…」
シュラの体が震える。
カミュがシュラを締め付け吸い付くように締め上げて、シュラの体が震える。
「カ、ミュ、カミュ…!」
名を呼びながら、シュラはカミュの中で果てた。熱い精がカミュの中に流れ込む。
「っく、ぅ…」
精を放たれる感触にカミュが呻く。小刻みに震えて、息を漏らす。
しかし休む暇もなく、シュラのセクスがまたカミュの中で形を取り戻す。
「シュ、ラ…」
吐息と共に甘く囁かれた自らの名前に反応するかのように、シュラのそれは急速に固さを取り戻し、また再びカミュの肉に喰らい付く。
「っく…ぅう」
漏れる声がシュラを煽る。カミュの奥へと腰を進ませ、深く深く繋がる。
「カミュ…」
囁く。背中を、舐める。骨に沿って肉に沿って、カミュの背中を舐める。
「はぁ…ぁ」
カミュの体が震え、シュラを甘く熱く締める。
その情欲をもっと引き出したくて、シュラは腰を引き、カミュの敏感な場所を突いた。
「く、ひっ……!」
直接的な快楽にカミュが身を固くし、跳ねる。シュラのセクスに、肉が絡む。
「ぅあっ、ひ、っく!」
先端で抉る。幾度も幾度も、そこばかりを。カミュが一番、感じる場所を。
「っく、ぅ、ぁあ!っは…!あッ」
執拗なシュラの攻めにカミュは逃げようとするかのように身を捩った。が、シュラがカミュを離すわけがない。仕置きとばかりにますます律動を細かくしてカミュを責め立てる。
「ぁあっ、あ、シュラ、シュラ…!」
カミュが肩越しにシュラを見る。苦しげに曲げられた体が艶かしい。
「シュラ、かお…!かお、みた…い!」
睫毛を濡らしてシュラを見上げる。唾液に濡れた唇が、赤い。
「カミュ…!」
シュラは一気にカミュからセクスを引き抜くとカミュの体を反転させた。
熱に火照ったカミュの顔が目の前に現れる。
赤く染まった目元に口付けを落とすと、シュラはカミュの膝を抱えた。白い液が零れる、カミュのアヌスが目の前に晒される。口付けたい衝動に駆られながら、シュラはそこに再びセクスを差し挿れた。
「っくぅ、…う」
カミュの唇が震える。震えながら、シュラ、と言った。
「カミュ…」
「シュ、ラ…す、き」
カミュが、手を伸ばす。シュラの両頬を掴むとぐいと自分に引き寄せた。濡れた唇が微笑む。
「シュラ」

口付けは熱く深く絡み蕩け甘く強く熱く深く深く深く、もう二度と、離れぬようにと。































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