だって結局は愛でしょ、愛
「おい、柳生よ」
その背中には翼がある。
「俺はお前に切られて思い出したぞ」
龍麻は、知らないかもしれないけれど
「俺はな、生まれたくて生まれてきたんだ」
いつも、君の背中を見ている僕達は、知っている。
「この世界に。この国に。この家に。この身体に。この俺に」
君の背中に守られている僕達は、知っている。
「生まれたくて、生まれてきたんだ。忘れてたけど、思い出したよお前に切られて、思い出したよ」
君の背中の翼。
「そしてな」
どこか遠くに行ってしまうものではなくて
「お前も、そうなんだよ」
僕達を
「みんなみんな、そうなんだよ」
暖かく
「生まれたくて、生まれてきたんだよ」
包み込む
「だからさ」
護るための
「俺やお前や俺たちが愛するこのとんでもなく汚い世界をさ、壊そうとなんか、すんなよ」
翼。
「愚かな…」