メリーメリー




 水の流れに身を任せる麺の束を掬い上げて、椀の中へ入れる。
 程よく汁を絡ませてからすすり上げ喉越しを楽しむ。
 それを繰り返す。
 汁が薄くなればツユを足し、刻んだネギを入れ、ワサビを足す。
 三者三様に箸を動かし、汁を作り、麺を食べる。
 黙々とその作業を繰り返し、ふとジンが口を開こうとすると、マーグリスが視線でそれを止めた。ペレグリーはそれに気付く様子も無い。
 ジンは再び箸を動かしたものの、束を二つ胃に収めてからやはり何かをマーグリスに訴えかけている。
「言ったところで意味がない」
「でも……」
「……何が?」
 つるっ、もぐもぐ、ごくん。
 ペレグリーが二人の顔を見比べる。
「…………」
 三人の目の前には小さな小さな流れるプールが、ただ黙々と素麺を回し続けていた。
「空しくないですか?」
 ごうんごうんごうんごうん。
「私は楽しいわ」
「……ならば何より」
 男二人は再び黙って女のために素麺を流した。



やったことは無いですけどね。