眼をえぐる
世界と言葉を違えた僕に、生き残る術なんてものは無かった。
ただ世界も僕を殺したいほど僕に執着しているということは無くて、程よい敵意と害意と無関心で僕を包んでいた。
好意なんて何処を探しても無かったから死んでも良かったんだろうけれど、いきなり放り出されたショックでそんなことを考える暇も無く、絶望の淵で何とか踏み止まったころには何をする気力も無かったから僕は生きていた。
何をしなくてもお腹は空いて、まだ子どもの僕はそれが辛かった。言われた通りに働けば食べ物が貰えたので、僕は毎日言われるがままに働いていた。そうすれば少なくとも空腹からは逃れられた。
夜の孤独は眠れば凌げた。昼の孤独は働けば忘れられた。
敵意が僕を罵って害意が僕を打ちのめして無関心がそれに蓋をした。
そして僕は僕を諦めた。
多分、今も。
- [12/09/08]
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