38度2分




 仕事から帰ったら玄関に八戒が倒れていたので慌ててベッドに運んだのが一時間前。
 どうやら風邪らしいので家においてあったいつのだか分からない風邪薬を飲ませ、水を飲ませ水枕を作ってやりその間にたっぷりと汗を吸い込んだパジャマを取り替えてやったのが今。
「家でおとなしくしてろよ」
「嫌ですよ、誰も世話してくれないじゃないですか」
「じゃあ呼べよ」
「負けた気がしてもっと嫌です」
「熱出した時点でお前の負けだよ」
 捲簾は、熱を出してもなお普段の調子を崩さない八戒にため息をつく。手にした袋の中は、コンビニへ行って買ってきた何種類かの果汁100%ジュースの紙パックが入っている。
「第一なんで俺なんだよ。悟浄のほうが近いだろ」
「格好悪いじゃないですか。そんな姿見せられませんよ」
「俺にはいいのか」
「貴方だって天蓬のところには行きたくないでしょう」
「なんで俺の話になるんだよ。行くわけないだろもっと酷くなる」
「そんな感じですよ」
「そうかよ」
 八戒は捲簾が買ってきたジュースの中からオレンジを選ぶと、少し飲んで眠ってしまった。捲簾は残りをすすりながら、今日の寝床をどうするか考えた。
 とりあえず、このことは悟浄にバラしておくことにする。



ノーコメ!