色あせた草色




 畳はいい。ベッドに比べれば確かに硬いが、フローリングとは違いそのまま横になっても痛くはない。出された座布団を二つに折って頭の下に入れれば尚いい。
 畳の上に寝転んで、腕などを動かしたときにたつ音も安らぐ。柔らかな川のせせらぎにも似たそれが、実に心地良い。その畳の目を、爪が引っかく音も良いことを、御堂は今日知った。
「孝典く、あ、あ」
 頭を振って揺れた髪が畳を叩く。両手は落ち着く場所を探して畳の上を這っていた。時に伸ばされ、それは御堂の足に触れる。
 腰の下に座布団を挟んでいるせいで、片桐の顔がいつもとは少し違うように見える。
 互いに服は着ていた。とはいっても片桐は下半身に付けていたものは全てない。先ほどまでは足先にかかっていた下着も落ちてしまい、ずり上がったシャツの下から、少し柔らかくなった腹が見えている。
 触り心地の良いそこから太ももにかけてを何度かなぞると、恥ずかしいのか片桐が手を掴んで止めた。
「き、気にしているんですから!」
「別に、馬鹿にするつもりはない。ただ触り心地が良かった」
「でもっ」
 これ以上やると片桐の羞恥メーターが振り切れそうだったので、御堂は撫でる手をひいた。かわりに目の前で揺れている片桐のペニスを握った。甲高い声が上がると同時に中が締まり、危うく持っていかれそうになる。
「っ……」
 信じられないと口を押さえる片桐に、御堂はそれはもう綺麗に微笑みかけてから手と腰とを動かした。
「だめ、だめです、あ、」
「だがいいだろう」
 御堂の問いに、もごもごと手で言葉を潰しながら、だが片桐は小さく肯いた。まだメーターに余裕があったようだ。
「孝典くんも、いいですか? 僕の、なか」
「……勿論」
 訂正。ずいぶんと余裕があったようだ。
 御堂は身を乗り出して深く片桐を攻めた。
「存分に、貴方も楽しんでくれ」
 終わったらこのまま寝転がってしまうのもいい、などと考えながら、御堂は片桐の口を塞いだ。



畳の上で! という案を頂きまして。