エテルネル -1-




成田空港は夜更けという事もあってかひどく閑散としていた。10月の頭といえば、私立大学でも夏休みは終わっている。仕事でやむを得ず渡航する勤め人の外、誰がこんな時期に海外へ渡るというのか。
慣れた様子で空席をチェックする恋人を横目で見ながら、壬生は自分の異様な行動に呆れていた。
龍麻に「僕も着いて行く」と宣言した後、翌日すぐさま休学の手続きをし(休学の理由は適当にぼかしておいたが、大学から咎められる事はなかった)、旅行に必要な物を買い揃え、母親に事情を説明した。母は初め驚いたが、すぐに顔を緩めて「素敵じゃない、ゆっくり遊んで来なさいと」言ってくれた。
母親にしてみたら、自分が入院してから壬生が言った初めての我が儘である。自分の息子らしからぬ突拍子のなさにはもちろん驚かされたが、母のためでなく自分のために時間を使いたいという息子の願いは、むしろ喜ばしかった。これも龍麻君のお陰ね、という意地悪い言葉に、やめてくれよ母さんと、また息子らしからぬ顔で照れていた。本当、龍麻君のお陰と心の中で繰り返し、抱えるほどの見舞いの品を持って遊びに来てくれる息子の一番の友達(友達の先まで到達している事については、実はまだ知らない)を思い出し、嬉しくも少し寂しい思いにかられる。母の寂し気な気配を敏感に察知した壬生は、そっと母の白く細い手を握った。
そういうわけで、壬生の初となる海外渡航はあっという間に決まってあっという間に実現した。夢中になって支度をしている時には気付かなかったが、いざ出立の日を迎えてみるとつくづく「僕は馬鹿だ」と思う。
複雑な思いに駆られている壬生を、一方の龍麻はいつもの笑顔で見やると、「手続きしてくるから待ってて」と言ってずらりと並んだセンスのかけらもないプラスチックのベンチ群を指差した。
ベンチに座るとひやりと冷たかった。時折堅い足音が聞こえる他は、空港は酷く静かだった。カウンターの女性達の声も実に穏やかなざわめきで、壬生はそっと目を閉じた。
「僕は、馬鹿だ」
目を閉じて、今度は声に出す。
小さな呟きは夜の空気に呑まれて消えた。
こんなことをして、一体何になるというのだろう。
こんな風に縋って、僕は一体何をしようとしているのだろう。
孤独な訳はないのに、壬生の中に急激に寂寥感が広がった。薄目を開けて、カウンターで何やら手続きをしている龍麻の背中を見た。ほっそりとした均整のとれた体つきはモデルもかくやと思われる程で、長い手足が印象的だ。たった十数メートル程度しか離れていないのに、今はその背中は異様に遠かった。あの時には、一緒に死線をくぐり抜けていたあの日々には、一度も感じた事がなかった距離感だった。
旧校舎で、戦場で、壬生は敢えて皆から離れて闘っていた。
龍麻の背後は「相棒」蓬莱寺京一が護っていたし、周囲には常に多くの仲間達がいて彼を護っていた。自分よりも前に仲間を出す事を極端に嫌って力任せに突っ込んでいく彼の負担を少しでも減らそうと、壬生は敢えて外れたところで闘っていた。龍麻よりは前に出ず、しかし遠くから龍麻を狙う異形を、決して彼に近寄らせないように。
もともと一人で闘ってきたのだし、変にチームワークを求められるよりも気楽だった。尤も、いつしかそんな壬生の周りでも何人かの仲間が共に闘うようになっていったのだが。
あの頃は、龍麻との間には長い距離があった。時には姿が見えなかったし、ずっと離れた場所で強敵に遭遇して負傷した事もあった。しかし身体はいつも龍麻の気配を察知していて、どんなに遠くにいても「護られている」気がした。
そう、自分達は、護るつもりで護られていた。
ずっと、ずっと。あの温かい愛情にくるまれて、自分たちはいつも護られていた。
そんな龍麻から特別な感情を寄せられている事に気付いて、壬生は激しく動揺した。動揺して、動揺したままここまで来てしまった気がする。龍麻の側は居心地が良すぎて、壬生は何も言えないまま今日までずるずると一緒に来てしまった。壬生はまだ自分の気持ちを上手く言葉にできないでいた。自分が抱えている諸々の感情に名前をつける事が出来ないでいた。
もちろん壬生も、いやおそらく龍麻が必要としているより、相手の存在を必要としている。
でもだから、言えなかった。聞けなかった。色々な事を。自分と龍麻に関わる色々な事を。聞けないまま壬生は一年近くやってきてしまった。
「馬鹿だな…僕は…」
「そぉ?」
思わずまた口にした独り言に答えを返されて壬生ははっと顔を上げた。見上げれば龍麻が細長いチケットを二枚手にして立っていた。
「そうなの?」
にこにこと自分を見下ろしてくる龍麻を見て、壬生は無性に泣きたくなった。表情を変えたつもりはないのに、壬生の哀しみに敏感に気付いた龍麻は壬生の頭をくしゃりと撫でた。
「馬鹿でも阿呆でも、壬生君は俺のタカラモノ」
そのまま抱きしめるような仕草をされたから、壬生は慌てて立ち上がった。不覚にも、視界が曇った。
不満そうに眉を八の字に寄せる龍麻とは目を合わせないで、「それで、どうするんだい」と壬生は聞いた。

特に空港内の免税店をひやかす気にもなれなかったのでさっさとチェックインを済ませたが、済ませたら済ませたで暇になってしまった。搭乗手続き開始まであと30分余ある。
「なんで予約をしていなかったんだい?」
話す事も特になかったので、壬生は何の気なしにふと気になった事をそのまま口に出した。龍麻はそれを聞くと少し答えにくそうに眉を寄せた。
「………バレたら、困るから」
「バレる?」
「俺がいつどこへどういう経路を辿って行くのか…」
しまった、と思った時にはもう遅かった。
「俺はともかく…フツーの人が巻き込まれたら困るからね」
最後の方は慌ただしく早口でまくしたてると、龍麻は申し訳なさそうに眉をしかめながら笑った。黙り込む壬生の頭を龍麻はぽんぽんと叩いた。
「壬生君のせいじゃないんだから」
「……」
そんなこと分かってるよと、言う事すら出来なかった。
自分は果たしてこの人の側に居る資格はあるのだろうかと、壬生は思う。蓬莱寺君のように何も顧みないで着いて行けたら、どんなにか良いだろうと思った。緋勇龍麻はそういう人間なんだからと、あっさり受け入れてしまえたらどんなにか楽だろうと。
龍麻が強制される過酷な環境を、素直に受け止める事も出来ず、かといって打破しようと抗う事も出来ず、龍麻と母親と自分自身の間でふらふらと浮遊する自分は、なんて愚かで弱い存在なんだろうと壬生は情けなくなった。
今だってそう。黙ってしまえば龍麻が困る事をよく理解していて、それでも沈黙を破る事が出来ない。冗談の一つでも言えたら。せめて何か一言でも。口に出来るくらいの勇気が、自分にあったらと思う。
自分の殻に入り込んでしまった壬生を見て龍麻はやれやれと言った風に微笑むと、丸められた背中に自分の身体をくたりと凭れ掛からせた。
「………………重いよ」
「失礼な」
沈黙の果てに漸く天岩戸から出てきた気難しい恋人に、龍麻は笑い声を含んだ声で返した。
「70kgはあるんだろう?」
「あ、はい。それぐらいは流石に」
実際は72kgである。身長と筋肉を考えたら、妥当な重さではある。
「米10kg七袋分か〜…」
「僕の一年分の食糧だ」
「え!?うっそ、少なッ!」
驚いて身体を浮かせた隙に、龍麻の下から抜け出す。
「外食も多いからね」
「えー、そうなんだ。意外と食べないんだね」
「一食に二合も食べる誰かさんとは違うからね」
「う…ぅう……」
言い返せなくなった龍麻は眉を寄せて唇をあぎあぎと咬んだ。小学生のような悔しがり方に、壬生は思わず笑みを零す。
壬生の微笑を見て、今度は龍麻がふわりと笑った。
「…なんだい」
「んーー?」
少し不機嫌そうな声を出す壬生を、あやすように龍麻は見返した。
可愛い子ぶって首を傾げながら、盛大にニコニコして言う。
「やっぱ俺、壬生君の事すきーー♪」
壬生の左ストレートが、龍麻の頬にクリーンヒットした。

「うっ、うっ、ひどいやひどいや…!」
搭乗手続きを完了して座席に座った後も龍麻は恨みがましく壬生に文句を言い続けていた。
「君が変な事言うから悪い」
「変な事じゃないもん、本当の事だもん」
「……もう一度吹っ飛ばされたいのかい?」
ぎろりと睨むと、「わーん!壬生君が虐めるー!」とそれこそ小学生のように喚く。…これが本当に東京を救ったのか?本当に?僕は夢を見ていたんじゃないか?と壬生は頭を抱えた。
そんな壬生を龍麻は涙目でじーっと見つめてくる。耳があれば垂れ、尻尾があればやっぱり垂れているだろうその表情を見て、壬生は深々と溜め息をつくと龍麻の顔を恨めしい思いで見返した。
「…わかったよ。ごめん」
「へへ〜」
途端にへにゃりと龍麻の頬が緩む。余りの現金さに溜め息が出る。
「変な事じゃないからな!」
「はいはい」
「本当の事なんだからな!」
「…はいはい」
適当な相づちを返しながら、自然と頬が緩んでしまう。冗談でも幻でも呪いでも良いから、このまま時間が止まってしまえば良いと思った。何も考えないで龍麻に流されて、平穏無事に笑っていられるこの瞬間が永遠だったらいいのに。世界で一番必要としている人の側に居ながら、孤独を感じてしまう不届き者な自分なんかどこかに置き去りにしたままで、この甘く幸福な瞬間に、いつまでも浸っていれたら良いのに。

あぁ、でもそれができないから、自分は今こんなところに居るのだろう。

半日近いフライトの果てに、二人はチューリッヒに到着した。思っていた程は寒くなかったが天気は曇りで、相当な時間をかけてやってきたというのに達成感は少なかった。むしろ長いフライトのせいか身体はくたくたに疲れていて、街の風景や何やらに気を取られてはいられなかった。
「しんどかった……」
龍麻もげっそりと行った風に項垂れた。ここまで長時間飛行機に乗っていたのは龍麻も初めてだったらし。基本的には船や鉄道も交えてのんびり移動することが多いらしい。今回それを控えたのはおそらく、壬生が同行したからだろう。そう考えて、壬生はまた少し気が重くなった。
ガイド片手に街のインフォメーションを探し出し、泊まれるホテルを探す。流暢な英語で値段や部屋の交渉をする龍麻を見て壬生は不思議な気持ちになった。
東京にいる時の龍麻は大概やる気なさそうにのそのそ行動している。買い物も大抵は壬生が行くし、龍麻が一人で外出すると行ったら如月骨董店に遊びに行くか、浜離宮に遊びに行くかくらいだ。そんな龍麻が外国語を自在に操ってホテルをアレンジしている様を見るのは、新鮮を通り越して奇異だった。東京ではぐずる龍麻を引っ張ってきた壬生は、立場逆転でなんとなく居心地が悪かった。
「市街地からちょっと外れたところに結構良いホテルがあるって。部屋も空いてるから、予約しておいた」
振り返って龍麻がにこっと笑う。案内嬢に二言三言お礼の言葉を掛けてから龍麻は大きなボストンバッグを肩に掛けた。
「行こう。お腹空いたでしょ、何か食べよう」
昼食の買い物も、全て龍麻が行った。何もかもやってもらえるのは歓迎すべき事なのだろうが、何故か壬生は素直に喜べなかった。
これじゃ「お客さん」で、「同行者」じゃないじゃないか。
頭をよぎった思いを、首を振って散らす。どうせ任されたところで、壬生は無力だ。龍麻もヨーロッパは初めてだが、今までに既にかなりの地域を回ってきている。壬生なんかよりは圧倒的に旅慣れているし、勝手が分かっている。ただ龍麻のために何も出来ない、無力な自分が情けないだけだ。それを龍麻に責任転嫁しようだなんて、なんと、浅ましい。
パン屋で買ったサンドイッチを公園のベンチで齧る。これでコーヒーでもあれば最高なんだけどなーと、龍麻はミネラルウォーターを飲み干した。
「後でカフェにも行ってみようね。スイスってケーキとか旨いのかな」
壬生が呆れる程に、龍麻は観光情報を知らなかった。道中色々聞いてみたが、龍麻は実際今回行く先について何も情報を仕入れていないようだった。ただミシュランの発行している詳細な地図と、トーマスクックの鉄道時刻表と路線図だけはしっかり持参していて、それらについてだけは詳しかった。考えてみれば、観光のために来ている訳ではないのだから、スイスのどこの美術館が有名かなど知らなくても問題ないのだが。
それにしても、なんでスイスなんだろう。
今更な事を壬生は考えた。どういう目的でヨーロッパなのかについて、壬生は聞いていない。今までの旅行先も、行き先しか知らない。龍麻が言いたくなければそれでいいと、思っている。しかし考えてみたら、自分が同行することで龍麻の目的の邪魔になったりはしていないだろうか。出国までは無我夢中で、脳裏を掠めすらしなかった様々な事が、実際現地に到着してから今更のように押し寄せてくる。
「着いたよ。今晩はここに泊まろう」
龍麻が発掘したホテルは、市街地から数キロ離れて建っていた。外観はそう派手ではない。
しかし柔らかな色合いの内装や古めかしい家具が醸し出す雰囲気はとても暖かで、壬生はふっと今まで知らずの内に入っていた肩の力を抜いた。
「はー、やれやれ。ようやく落ち着いた」
荷物を床に放り投げて、龍麻はベットのダイブした。
「寝たら時差ボケるよ」
「うー…そうなんだよなー。ヨーロッパはきついぜ……中国は楽だったなー。時差ほとんどないもん」
ベットの上を転がりながら龍麻が言った。こうしていると、まだ東京に居る様な気がしてしまう。
「あ、そうだ。貴重品は絶対身に付けておいてね。スイスじゃ大丈夫だとは思うけど、ホテルの従業員がベットメイキングの間にスったりすることもあるから」
言ってから反動をつけて跳ね起きると、龍麻は床に降りた。
「さて。観光でもしてきますか?」

観光、とは言ってもただ街をふらふらと歩くだけだったが、変にスケジュールを詰め込むよりもよっぽど楽しかった。
何気なく入ったスーパーマーケットでは、ハロウィンのお菓子と共にもうクリスマスのお菓子が売られていて、日本ではお目にかかれない凄まじい配色に二人して顔をしかめた。そして龍麻は、ちゃっかり極彩色のジェリービーンズとキャンディーを購入していた。
「それ………………食べるのかい?」
「んにゃ。醍醐の家に送りつけておく♪」
不安を絵に描いたような顔で聞いてきた壬生に、満面の笑みで龍麻は返した。被害者を思って深々と溜め息をつくと共に、自分が犠牲者にならなくて良かったと、壬生はしみじみそう思った。
可哀想な醍醐は、その後また龍麻が購入するジャック・オー・ランタンに似せたピーナッツバターのゲロ甘いお菓子やら、何故か漆黒の色をした正体不明のお菓子やらの詰め合わせを受け取る事になる。贈られた物は無視できない律儀な元番長は、泣く泣く家族と共にそれを食したそうだ。が、真っ黒の摩訶不思議なお菓子だけは、彼の強靭な精神を持ってさえも乗り越える事は出来ず、醍醐は正座しながらそれをゴミ箱にポイしたのだった。
ハロウィンに向けてオレンジ色のディスプレイが賑わう市街地をぶらぶらと四時間近く歩き通し、気がつけば既に日は沈んでいた。
「お腹空いた?」
「そうだね。そろそろ夕飯を…」
そう言って見回すが、レストランに客が入っている様子がない。日本ならばもう夕食時なのだが、こちらでは夕食はもっと遅いようだ。
「うぅ…何食べよう…ってかスイスって何が美味しいんだ?」
言いながらレストランの入り口に掲げてあるメニューを見た龍麻が、無言で仰け反った。
どうしたのかと脇から覗き込んだ壬生も、思わず言葉を失った。
「…………………高」
壬生が素直な感想を述べる。そこには日本円で換算したら、それこそ「ディナー」な値段が表示されていた。
龍麻がぎちぎちと音でも立てそうなぎこちなさで振り返る。無理がある笑顔を、壬生は内心苦笑しながら見返した。
「…………………貧乏食でいいですか?」
絞り出す声に思わず口元を緩めて、壬生は「賛成」と同意した。
龍麻が選んだのは、パン屋でパンを、肉屋でハムを、スーパーでチーズを購入、つまりまぁ自分でサンドイッチを作る、という方法だった。ついでにドリップ式のコーヒーと紙コップも購入し、ちゃっかりフロントでお湯を貰ってコーヒーを煎れたのだった。
さすがに主食というだけの事はあって、日本で食べるパンよりも圧倒的に美味しかったし、ハムもチーズも日本では食べれない味だった。今まで特に美味しいと思った事がなかったチーズだが、これなら確かに毎日食べても良いと思った。
「ごめんよー、不甲斐ないオトコで」
冗談めかして項垂れる龍麻の頭を「オンナ扱いされたい訳じゃない」と言ってぽかりと叩く。
それにこうしてホテルで夕飯を自作するというのも、多分滅多にない経験なんじゃないかなと壬生は思う。第一旅行は長期になるのだし、移動費だけでも相当掛かるのだから、毎日の食事に数千円もかけてはいられない。
「あー、これだから先進国は…。俺、今度来る時は金持ちになってからにする」
こんなに高いとは思ってなかったんだもん、と拗ねる龍麻に、壬生も頷く。
「ごめんよー。俺が」
「御門さん並に金持ちでも、奢ってもらう気はないからね」
ぎろりと睨めば龍麻はひょいと肩を竦めた。
「うぅ…ごめん」
「別に良いけど」
明日もこれにするなら、今度は野菜も欲しいなと思いながら、壬生はサンドイッチを齧った。そういえば朝起きて市場に行きたいとか龍麻が言ってたっけ、それならその時についでに買えばいい。
ヨーロッパに来ても、発想は主婦のままである。
「だってさー、俺いつも壬生君になんでもやってもらってるからこんな時くらいは甲斐性ってやつ?見せたいじゃんか」
ぶつぶつと龍麻は文句を垂れた。
「僕が?なんでもやってるって?」
「そーだよ。御飯は作ってくれるし掃除もしてくれるし家にも泊めてくれるし…って俺が宿無しだからいけないんだけど」
「君だって食事は作るじゃないか」
「でも買い物は全部壬生君だし…」
出不精の自覚はあったらしい。
「別に、好きでやってる事だし」
うん、分かってるんだけどね、と言いながら龍麻はそこで話題を打ち切った。