片思いラブ -9-




「そ、な、おま…」
喘ぎながら葉佩が言った。
「おま…その……や、やり方とか、知ってんの、かよ…」。
混乱しきった頭を少しでも冷やす為に、とにかく思った事を口に出した。
ここで取手が即刻で「うん」などと言っていたら、葉佩の頭は完全にフリーズしていただろうが、さすがに取手は黙した。
「よ、良かった…」
息を止めて沈黙に聞き入っていた葉佩は、はっと息を吐いて言った。
「良かったのかい?」
「ったりめーだと!ヤだよ、アナルセックスがメジャーな国なんてヤだよ!」
エジプトでは割と一般的だったが。
「じゃあ……はっちゃんは知ってるの?」
どことなく拗ねたような表情で言う取手を見て、葉佩はようやく余裕を取り戻した。
「ま、な。いやだってほら、俺がいた環境ってちょっち変だし?エジプトもハンターの世界もなんつーか日本と倫理観違うし?」
「それもそうだね……」
取手は首を傾げて思案した。
再び訪れた沈黙に、葉佩はなんとなく居心地の悪さを感じた。
言うなればそう、悪い予感。
そして取手がぽんと掌を打つ。
「じゃ、問題ないよね。はっちゃんに教えてもらえばいいんだもの」
きらめく笑顔は眩しくて、葉佩は思わず目を細めた。

これが、あれか。
墓守だけに、「ぼけつ」ってやつか、うん。
あは。あはははは。は、は、は………。





「あ…ゃあ、めぇ……」
葉佩の涙声が響く。
すすり泣くような声に交じって、ぐちぐちと濡れた音が聞こえる。
音は葉佩の前と後ろから。
後ろは部屋にあった食用油でぬめり、前は取手の唾液と葉佩自身の垂れ流す滴りで濡れていた。
取手になだめすかされ脅されながら、結局葉佩は男同士でセックスをする場合はアナルを使う事。
その時、十分に濡らして慣らさないと、受け止める側には非常な負担がかかる事。
慣らす時には前を弄りながらの方がいい事。
などなどを、なだめすかされ脅され責められながら、白状させられた。
「っ、い…も、や、あ……」
張りつめた前を弄る手つきは非常に緩慢で、熱は溜まる一方だ。
逆に後ろは既に二本の指が埋められ、混ぜられ広げられ、人並みよりは大きい取手のモノを受け入れる為に存分に慣らされていた。
しかし、決定的な一打はまだ与えられていない。
もうとにかく、早くもっと何か、この熱を吐き出させてくれる何かが欲しかった。
「あ、ね…も、へー、き……ね、とりで…」
舌足らずな口調で、葉佩が言う。
噛み合ない顎から、透明な唾液が滴り落ちた。
「そう…だね」
取手は興味津々と言ったふうに、葉佩の後ろを覗き込んだ。
「すごい、真っ赤だよはっちゃん」
嬉しそうに取手は言うと、葉佩の膝を掬い上げて大きく股を開かせた。
「や、あ…めてぇ……」
くしゃくしゃと顔を掌でかきむしりながら葉佩が言った。
力の入っていない指先に、取手がそっと口づける。
「うん、これなら…入りそうだね」
むき出しになったそこに、取手はそっと硬く反り上がったモノを押し当てた。
「っひ、ん…あ、や」
ぐずぐずに慣らされたそこに、熱い昂りが触れた瞬間、葉佩は高い声を上げて震えた。
その様を見て、取手のペニスがどくりと脈打つ。
質量を増したそれを、取手はぐいと葉佩の狭いアナルに突き入れた。
「や、あ…あ、あ…ひ、い……」
侵入を拒むように、びくびくと震えながらも、葉佩は取手のペニスを呑み込んでいった。
「ひぅ、い…あ、や、あぁ……」
一般よりも、長く太いが最後まで収まると、葉佩は身を仰け反らせて細い声を上げた。
燃えるようにあつい秘所は、きつく取手に絡み付き、その目も眩むような感触に取手はぶるりと肩を揺らした。
「…はっちゃん……」
呟きながら乳首を摘む。狭いアナルが一層狭くなり、葉佩の太腿がびくびくと跳ねた。
「ひゃ、あ…や…」
もはや声にならない声を上げて、葉佩はいやいやと首を振った。
あどけない仕草は、むしろ取手の劣情を誘う。
燃え盛るような血が、一箇所に集中する。
取手は耐えきれず腰を前後に動かした。
それは決して激しい律動ではなかったが、焦らしに焦らされた葉佩に取っては、十分すぎる刺激だった。
内奥を抉るように腰を押し付けられ、葉佩は悲鳴にも似た声を上げた。
「いあっ、やぁっ、あ、あ、あ……!」
腰が浮ぶ程に、葉佩の身体が跳ねた。
瞬間、熱い感触が取手の腹に広がった。見れば、白濁とした液が、取手と葉佩の二人の腹に掛かっている。
耐えきれず、葉佩が射精したのだ。
「ひぅ……い…」
射精しながら、葉佩は腹筋を震わせた。
その感覚が筋肉を通じて取手にも伝わる。その気持ちよさに、取手はうっとりとした表情を見せた。
「あぁ…いいよ…はっちゃん……すごく…」
取手は少しずつ深く浅く腰を動かしていった。どこだったか、確かここの辺りに、葉佩に教えてもらったポイントが…。
「ひぃっ、や!…め!」
精を放ち、へたれた葉佩のペニスが一気に角度を持った。
取手のペニスが、葉佩の前立腺を直に刺激したのだ。指とは異なる、熱く硬くくびれたそれは、想像以上の快楽を葉佩に与えた。
「い、んッ、や、いやぁ…!」
涙声で取手に縋るが、それで動きを止める訳もない。
「んくっ、ん、ん!…あ、め…やめ…ッ」
まるで操り人形のように、葉佩の腰が跳ねて、内奥が震えた。
頭が白くなる。
口の端を、唾液が伝い落ちてゆくのを感じる。
「めぇ、や、め…も、イ…ク…!ま、た…イッちゃ……」
「ああ…いいよ……もっと…もっと、気持ちよくして、あげるから……」
うわごとの様に取手は囁くと、葉佩の腰を掴んで激しく打ち付けた。
「いあッ、やめ、ひゃ…あ、ぁあ、あ……!」
葉佩の内側が波打った。
取手のペニスを銜え込み、まるでその熱を喰らうかの様に。
「あ、あ…はっちゃ……!」
高らかな声で、取手は愛しい人の名を呼んだ。
放たれた液体が葉佩の中に注ぎ込まれる。
腹の内側から溶け出すような感覚に蕩けて、葉佩は二度目の精を、取手の腹に投げかけた。



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