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「っう、い…!」
前をはだけられ、下着ごとズボンを引きずり下ろされた九龍は、音楽室の冷たい床の上に転がされていた。
取手の指と舌が肌に触れる度に、過剰とも言える反応が返ってきた。乳首を軽く吸い上げただけで悲鳴にも近い叫びをあげ、仰け反る。
「ひゃっ!ぁ、や」
愛撫を初めてまだ幾ばくも経っていないというのに、九龍の目には既に涙が浮かんでいる。肌は紅潮し、汗を含み、指先から伝わる鼓動は張り裂けんばかりだ。
「っく、ぅん!っひ、ぃ…あぁっ!」
するりと太腿を撫でると、足が跳ね上がり取手の肩を打つ。
「ひどく、敏感だね」
耳元で囁いてみれば、耳にかかる息にすら感じてしまうのか、ぶるんと全身が震えた。徒に目の前の耳に舌を這わせてみれば案の定可愛らしい鳴き声が上がった。
ただ手先で触れただけでも声を上げる九龍を見て、取手の昏い微笑みは深まった。
「っは…ぁあっ、ぁあっ!」
剥き出しになっているペニスに指を絡めると、悲鳴が上がった。そこは既に膨れきっていて、数度でも擦ればあっという間に達しそうだった。
「自分でやったり、しないの?」
触れるか触れないかの微妙な距離感でさすると、それは取手の手の中で敏感に跳ねた。
「あ…し、な……」
「ふぅん」
気がなさそうに取手は答えると、突如強く握りしめ、数度手を上下させた。根から、先端へ。
「ひぁっ!あぁあっ!」
白い飛沫が取手の手を汚す。数滴は跳ねて服にかかった。
「あぁ、汚れてしまった」
呟く取手に声を返す事も出来ず、九龍は小刻みに身体を痙攣させていた。腹部にかかった精液を指で掻き回すと、その震えは大きくなった。
「っや、ぁあ…ん」
精液を存分に指に絡めると、取手はそれを九龍の後孔にあてがった。粘液を幾度か擦り付けると、指先で少しずつ入り口をほぐす。
「っん、あ…や、やめ…」
身を捩って逃げようとする九龍の胸元に口づける。きつく吸うと、九龍の身体が跳ねた。首筋から乳首に掛けて、舌を這わせて時折吸い付く。抵抗しようにも、九龍はそちらの刺激に耐えるだけで精一杯だ。
「ひゃ、あっ!ん…ぅう、っく…っん!」
後ろの穴も次第に緩くなり、取手は少しずつ指を差し入れていった。本来外部からものを入れる場所ではない。不快感を伴う行為のはずだが、九龍のペニスは既に勃ち上がっていた。胸板を舐めただけでこうなったのだろうか。
「あぁ、ん…やぁ、あ…」
びくんびくんと跳ねる身体に歯を立てると、声が高まる。
後ろの穴は少しずつだが取手の指を受け入れ、長い指はすっかり埋まってしまった。少しずつ動かして、内壁を探る。
「っう…く、んぅ……ッ!」
ある一点に到達した瞬間、九龍が取手をきつく締め付けた。
「あ、ここね」
取手の指が無遠慮にそこをなぶる。
「いぁあッ!あぁッ!」
足が跳ね上がり痙攣する。先ほど射精したばかりだというのに、九龍のそれはもう先を濡らし解放を望み始めていた。
「もう少し、慣らしたいね」
そう呟いて取手はそこから指を外し、孔を広げる事に専念する事にした。ぐちゅり、ぐちゅりと卑猥な音が木霊する。響く度にいやいやと九龍は首を振るが、取手が手を止める気配はない。
「音がしているの、九龍君の精液のせいだよ。男は、濡れないからね」
何の感情も混めず、解説口調で取手が言う。その言葉に九龍は赤面し、瞼を閉じる。その瞼をぬらりとしたものが触れる。
慌てて目を開くと、取手の顔がすぐ目の前にあった。
「挿れるね」
「え…」
取手のいう事が咄嗟に理解できない。
取手は九龍の身体を反転させた。背中を取手に向けることになる。取手は九龍の腰を掴むと引き上げた。
「っわ」
腰を取手の方に突き出す姿勢になる。そこでようやく、何が行われるかを理解するが、反応する前にその衝撃はやってきた。
「っひ、ぃ…ッ!」
喉が引きつれ、声にならない。長く固く熱いものが、九龍の後孔を引き裂く。
「ひあっ、っか、ぁ!」
襲う衝撃に、自然に手足が暴れる。両脚が取手を蹴るが、おかまいなしに取手は自分のペニスを九龍に埋め込んだ。
「きつい…」
若干眉根を寄せながら取手が言った。必死に追い出そうときつく収縮するそこを開こうと腰を進める。
「ひ、ぃい!っく、んんぁ!」
ようやく全部を九龍の中に収めると、取手はほっと一息ついた。九龍はもう膝に力が入っておらず、取手が手で支えないと腰が立たない有様だ。
取手は背中を丸めて目の前に晒されている白い背中を、舐めた。
「ッ!っあ!」
刺激に反応して跳ねた拍子に、結合部分も揺れる。
ねとり
取手の舌がまた九龍の背中を這った。
「やっ!ぁあ!」
動きを止めようにも、動いてしまう。その拍子に、焼け付くように熱いそこが、触れあってしまう。
「いやぁ…やぁ…」
涙ながらに首を振る九龍に、取手は「何が?」と首を傾げてみせた。
「何が嫌なの?」
「ぁあ…って、そこ…」
「気持ちいいの?」
取手の率直な言葉に、九龍の肩が震える。
「気持ちいいんでしょ?」
「ち…が…」
必死に首を振る九龍を見て、「ふぅん」と鼻を鳴らす。
「ま、いいけどね」
ひょいっと肩を竦めると、取手は一気に腰を引いた。
「ふぁっ」
がくんと、脱力した次の瞬間、目の前が真っ白になった。
「ひゃぁあッ!」
一気に奥を突かれて、九龍は悲鳴を上げる。
「もっと、だよ」
「いぃあ、やぁッ!や、…めぇっ!ひぃッ」
また腰が引かれ、そして突かれる。異物が体内を侵す感触を生々しく感じながらも、そこがひどく熱い事に驚く。自分のペニスが膨らみ、震えているのを感じる。
「ッぁあ!」
取手のペニスが、九龍の敏感な部分に触れた。突然の刺激に九龍のそこがきつく締まる。取手の先端が幾度かそこを抉ると、射精感が下半身に訪れる。
だがしかし、それは遮られた。
取手は片手を九龍の腰から外し、九龍にペニスの根をきつく掴んだ。
「んぁッ!…な、んっ」
「だって」
取手は九龍の射精を阻みながらも、九龍の弱い所を突き上げた。
「んんッ!んぁあ、やぁ、あ!っくぅ!」



「君には、苦しんでもらわなきゃね」