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「ん…ぁあ、っは、あん」
甘い声と、濡れる音。静かな遺跡の一角に、卑猥な音が響いた。
九龍は下着も剥がされた上体で、埃まみれの床に寝転がらされていた。大きく開かれた脚の間には、取手の頭がある。
はち切れんばかりに膨らんだ九龍のペニスを、柔らかく口で包んでゆるやかな刺激を与える。ぬるま湯につかる様な快楽に、九龍は肌に汗を滲ませた。
腿を時折擦る取手の髪の毛にさえ反応してしまう。既に散々全身を弄られ、抵抗する気力は残っていない。背中に胸に散らされた鬱血はその痕跡だ。脱力し、取手のいいように煽られる。
暫く九龍のペニスをなぶっていた取手だが、やがてそれに飽きたのか口を外し顔を上げた。九龍に絡んでいた唾液が糸を引く。取手はそれを舌先で舐めとると、九龍の膝下を掬った。
「ん、あ…」
恥部が全て外気に晒され、むき出しになる。脚は大きく開かれ、後ろの穴までむき出しになっている事だろう。
「や、め…ぇ」
震える声で懇願するが、取手はその声に目線も合わせないまま九龍の後孔に唇を近づけた。
「ふぅ…っくぅんっ!」
取手の舌がすぼまっているそこに触れる。唾液がそこをぬめらせ、やがて柔らかいものが侵入してきた。
「ひぅうっ!んっく…」
にちゃにちゃと、わざとらしく音を建てて取手は舌をうねらせた。指やペニスとは違った感触に九龍は震える。一度快楽を仕込まれたそこは拒否するためというよりも寧ろ刺激を求めて収縮を繰り返した。淫らに動くそこに舌を這わせ、差し、挿れ、ほぐす。
強張っていた肉が暖かく柔らかくなってきたのを見計らって、取手が九龍の口元に自分の指を突き出した。
「舐めてご覧」
優しい声音だった。
思考が巡らない頭で九龍は素直に従った。唇からわずかに離れているそれに舌を伸ばし絡める。
「しっかり、濡らしてね」
言われるままに、唾液を絡める。唾液が指先から零れ落ちる程まで濡らさせてから、取手は手を引いた。唾液で光るそれを今ほぐした後孔に差し入れる。
「ふぅん…っや、…ぁん…」
無意識に拒否の言葉が零れるが、そこは従順に受け入れていった。あっという間に取手の長い指を取り込み、それでも尚かつひくひくと蠢いていた。
「…まさかここまで慣れるとは思っていなかったな」
取手の言葉に九龍は顔を背けた。自分自身も驚いているのだ。
「まぁ、この間さんざん弄ったものね。何回イッたんだっけ?四回?五回?」
羞恥心に真っ赤になる顔を腕で覆う九龍を見て、取手が喉の奥で笑った。
「僕が止めてあげなかったら、あと何回イッてたんだろうね。ね、九龍君?」
ぐちゅぐちゅと、音を鳴らして取手の指が動いた。
「ひゃ…ぁ、あ……っ」
弱いところをわずかに外して、煽られる。意図せず腰が揺らぐ。
なんと浅ましい事かと思いながらも、身体は快楽を追い求める。
「触って欲しい?」
笑いを含んだ声で取手が言った。
「っふ、あ…んっ、ぅ…」
ぎりぎりで与えられない刺激に、九龍の頭が壊れそうになる。素直に頷けないのは、それでもどこかに羞恥心が残っているからだ。唇を噛む九龍を見て、取手は喉の奥で笑った。
「じゃ、いいよ」
ずるんと指が抜かれた。九龍の身体が震えた。
与えられるどころか奪われた快楽を惜しんで九龍の後孔が痙攣する。潤んだ目で見上げれば、取手がひどく優しく微笑んだ。それを見て、九龍の背筋が寒くなる。
あぁ、きっとこの後、もっと酷いことを、される。
そう思った瞬間、ひどい衝撃が九龍を襲った。
「ーーーッ!!」
取手のペニスが、九龍のそこに無理矢理押し込まれたのだ。奥まで貫かれ、九龍が声にならない悲鳴を上げた。思い切り仰け反り、喉笛がむき出しになる。そこに取手は歯を立てた。
歯形が残る程に噛み付く。
呼吸が出来ない九龍はひ、ひ、と喉を鳴らして酸素を求めた。全身が緊張し、取手をひどく締め付ける。痛みを感じる程の締め付けに、取手は満足げに笑った。
喉元から歯を外すと、一気に腰を引いた。
引き抜かれる直前になって、また貫く。九龍の身体は激しく痙攣し取手をきつく締めた。
「ッ!っく、っか、あ…ッ!」
苦しげに首を振る九龍の目元から涙がこぼれ、頬を伝う。
腰を掴まれ、ほぼ垂直になるように突かれた。緩慢に、深く、重く。
「いッ…っや…ぁあっ」
やがて声に艶が混じるようになる。痛い程の締まりが、徐々に変わる。
「んっく、ぅんん!っあ、あ!」
取手の動きに合わせて収縮を繰り返すそこは、激しい攻めからも快楽を拾っているのだろう。
取手は少し角度を変えると、今度は小刻みに動き始めた。
「ひゃっ!っあ!ぁあや、めぇッ!」
九龍の弱い所を狙って仕掛けられた攻めに、九龍の身体はついてゆけない。首を振り取手に抗議を示すが、取手は勿論そんな仕草を気にかけたりはしない。
「ひぃっ!いっ!…んぁああ!」
一際大きく仰け反り、九龍のペニスが射精した。白濁とした液体が九龍の腹にかかる。
しかし取手は動きを止めず、繰り返しそこを突いた。
「んぁあ!…や、だぁ…やめッ!」
がくがくと震える脚を取手の繊細な指が這う。射精した九龍のペニスはあっという間に固さを取り戻し、波打った。
「可愛いね、君は」
汗でへばりついた髪をかきあげながら、取手が言った。
「もっと、壊してあげよう」
あぁ、なんて綺麗な笑顔なんだろうと、九龍は思った。